【カフェチャット】インディー漫画クリエイターのMOC

· 14分で読了

今日はMOC(mira ong chua)がカフェに来ているので、最近リリースした『レイラとエアリー:銀河に響く歌』(THE COSMIC BALLAD OF LAYLA + AIRY)という漫画などのお話を聞こう。

(このインタビューは英語から日本語に翻訳されたものです)


カフェにいるのは?

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はじめに

npckc​ バーチャルなインタビューではあるのですが、ここがどんな飲み物でも出してくれるカフェだとしたら、何を注文したいですか?

ちなみに、自分はデカフェのコーヒーにする。夜遅いので。

MOC​ おー!先日新しいカフェでココナッツクリームと塩とちょっとだけミントが入っているアイスコーヒーを注文したけど、変かなと思ったらすごくおいしくてもう頭から離れないんですよ。

npckc​ めっちゃおいしそう……塩って結構飲み物に合うけどあんまり知られていない気がします。

では、自己紹介をお願いできますか?

MOC​ 皆さんこんにちは!ロスアンゼルスから来たストーリーアーティストとインディー漫画クリエイターのMOC(Mira Ong Chua)です。色々な物語を書きますが、主にクィアなロマンスとジェンダー・ノンコンフォーミング(伝統的なジェンダーロールに一致ないジェンダー)のキャラが中心の物語が多いです。

npckc​ 前からちょっと気になってたのですが……MOCの発音は何ですか?「エム・オー・シー」で合っているのですか?それとも「モック」?

MOC​ 文字を読み上げる前者のつもりですが、自分でも少し言いにくいだと思います。実はイベントなどでよく「Miraですか?」と聞かれます。(Miraと呼んでも大丈夫ですが!)

漫画を書いてセルフ出版

npckc​ エム・オー・シーの発音ですね!了解です。自分はMOCさんの作品をコミックから入りました。たしかVampire Blood Drive(吸血鬼の献血運動)がはじめてだったと思いますが。

漫画を描き始めたきっかけは何ですか?

MOC​ 漫画を描く前はアメリカのテレビアニメ業界でストーリーボードのアーティストの仕事をしていました。未熟な自分はいつか自分のアニメのプロデュースができるという妄想があったんですが、素敵で奇抜なアイデアを何度もネットワークに売り込んで(控えめに言っても)クソくだらない理由で断れる先輩たちを長年見たら決心しました。自分の夢のプロジェクトを作るために他の誰かの許可が下りるまで待てるように忍耐や頑強さを鍛えたくなかったんです。もともとアニメの視聴者より漫画の読者だった自分がインディー漫画に行ったのはわりと自然だと感じます。

npckc​ 誰かの許可を待たない……素敵な決意です。売り込みの話もすごくわかります。ゲーム業界でも友達から似たような話をよく聞きますね。最高なアイディアなのに「共感できない」という理由で出資されないとか……背が短いイタリア人の配管工のゲームとか何百万人の人だって遊んでいるから、人間は共感なんてやる気があれば何にだってできると思うんですが。

漫画なら描きたくなったら描けばいいという点が本当に素晴らしいと思います。MOCさんの漫画が大好きなので漫画に手を出してくれてありがとうございます!

MOC​ できればkcさんがどうしてゲームを作り始めたのかも聞きたいです。最初からゲームという表現手段にひかれたんですか?

npckc​ 最初の表現手段はたぶん文学でしたね。文学というか、二次創作小説?もう本当に若いころから書いていたので!当時は紙のノートでたくさん書いてました……物語を書いていた自分がノベルゲームを作るようになったのはただの延長線みたいな感じでした。イラスト付きのノベルなので。もしかして自分にとってのノベルゲームはMOCさんにとっての漫画みたいなものかもしれません。他の人の許可なんてなくてもいつでも作れるから。最近は物語を書きたくなったらノベルゲームを作ってますね。

表現の手段から出版の手段へ……MOCさんはよくKickstarterというクラウドファンディングのサイトでセルフ出版している漫画のキャンペーンをやっていますよね。世界中の読者の手に自分の漫画を届けるには最強な方法だと思いますが、クラファンの過程で一番好きなことは?

MOC​ Kickstarterはall-or-nothing方式なので、締め切りまでに目標額を達成できなければ何ももらえません。だから、きゃぺーんをやると、何も知らないストーリーとキャラに手を出してもらわないといけないんです。自分にとってももしかして読者になるひとにとってもハードルが高いと思います。

それもあるから、キャンペーンを作りこむときはどんな小さい部分でも意識的に決めています。色や、グッズや、もちろん本などのデザインも。キャンペーンのページを見て「これは自分好みだね」と思ってくれるために。

毎回違う課題があるんですが、毎回楽しくやっています。自分が考え出した新しいアイデアを信じて支援してくれている皆さんをありがたく思っています。

npckc​ MOCさんのキャンペーンはどれも素敵なので工夫が伝わってきますよ!レイラとエアリーのトレーラーとかからは昔のアニメとカートゥーンの雰囲気を感じました。

MOC​ 遊び心を感じるでしょう?トレーラーのかっこよさは全部動画編集を担当してくれたLucia Retamalesのおかげです。トレーラーに使う絵を送ったら「VHSのエフェクトを入れよう」とか「むかしのパブリックドメインの映像※みたいにしよう」とか「コマを高橋留美子っぽい色合いにしよう」とかすぐに言ってくれてさ。カートゥーンの仕事をしたときはこのようなコラボレーションがたくさんあって時々恋しくなるから、今もこのような形ですごいアーティストと一緒に仕事ができて感謝しています。

※MOCさんはこのような動画を考えていたらしい 👉 https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=7t4pTpINcMU&ra=m

そういえば、kcさんは前『マロンの日』を物理のカートリッジで出してましたね。物理メディアのリリースが減っていることがよくアメリカで話題になっているので逆に珍しいと思ってました。インディー開発者としてどう思いますか?物理メディアを集めていますか?

npckc​ 物理メディアとかゲームのパッケージ版は結構好きなほうですが、置く場所がないのであんまり集められません。(笑)最近は電子書籍を良く買いますね。実際に手に本をもってページをめくる気持ちが恋しくなるけど。

自分が子供の時にゲームを遊んだ感覚を再現したかったのでマロンの日は絶対に物理で出したかったです。カートリッジやディスクなどをゲーム機に入れて、パッチとか追加のダウンロードがなく(そもそもインターネットの通信もなく)すぐに遊べる感覚をね。今の子はクリスマスにGTA6をもらっても箱にはダウンロードコードしか入らないからね……(GTA6をクリスマスにもらう年齢の子供たちなら自分で買えるだろうけど!)

あと、物理メディアはむしろ場所がなくてお金もなくて集められない人のためにあると思います。電子書籍が借りられる図書館はもちろんあるのですが、物理メディアよりもはるかにライセンスが大変でコストが高い場合が多いし、デジタルなゲームがある図書館はほとんどないと思います。物理のゲームなら図書館に結構あるのですが※。(デジタルのライセンスに関して色々思うことがあるので話過ぎないようにいったんここで口を封じますw🙈)

※日本以外の国にはNintendo Switchなどのパッケージ版があるゲームが借りられる図書館が結構あります!うらやましい……

インディーゲームに関しては物理のリリースが出ないものがほとんどだと思うので、正直言うとパッケージ版がほしい人は自分で作ればいいと思います!大好きなゲームをCDに焼いたりUSBメモリーに入れたり。かわいいシールとか貼れば自分だけのパッケージが誕生しますよ。

物理メディアって言えば、MOCさんの漫画の本を手に取ると、物語が両手に収まっている気持ちになります。MOCさんの読み切りの漫画の完成度を本当にリスペクトします。一巻というスパンでキャラがどんな人なのかが必ずわかるから。漫画のアイデア出しはどうしているのですか?先に物語の構想から考えますか?それともキャラクターのほうからとか?

MOC​ ありがとうございます!いつも最初に完成する物語になりそうな文章を一つだけ書きます。この文章で主人公の目的と障害がわかります。たとえに最近リリースした『レイラとエアリー:銀河に響く歌』で思いついた文章を共有します。

「レイラはエアリーのことを完全に忘れようとするが、邪悪なファンクラブに狙われるエアリーの元にまた引きずられる。」

(普段はメインキャラのことをもっと丁寧に説明しますが、レイラとエアリーは今回の漫画の第一章に使う予定の短編漫画に素手に出ていたのでこんな感じになりました。)

そこから文章を物語の「導入」「中間」「結末」がわかる段落に操って、どんどん膨らませると物語の全部を描くシナリオになります。

もちろん、書くと書くほど答えが必要になる質問が出てきます。例えば、邪悪なファンクラブには何人いる?この新キャラの関係性は?なぜエアリーを狙っている?レイラーはどうやって関わるようになる?かなり複雑になることもありますが、最初の文章さえあればまた軌道に乗れます。

この過程全体を通してアニメや漫画や映画などのインスピレーションや参考になるものを集めます。特に詳しくないジャンルで描いている場合はよくパートナーや友達に手伝ってもらっています。

npckc​ 邪悪なファンクラブのメンバーがみんな大好きなのでどうやって生まれたのか聞けて嬉しいです!邪悪なのはわかるのですが、漫画でどうしてこうなったのかが描かれているからどうしても嫌いになれなくて……(ネタばれにならない程度で話したいから曖昧になってますが、まだレイラとエアリーを読んでいなくて邪悪なファンクラブが気になるならMOCさんのオンラインショップで物理版とデジタル版※が買えます!)

※デジタル版は日本語版もあります!!

漫画からゲームへ

MOC​ kcさんはいつもストーリーとゲームプレイを違う方法で混ぜていて面白いと思っていますが、kcさんこそゲームのアイデアをどうやって考えているのですか?ストリーかゲームプレイか、どっちが先ですか?

npckc​ ありがとうございます!ノベルゲームにミニゲーム◎大あり派なので、自分のノベルゲームに入れるミニゲームを考えるのが大好きです。ゲームプレイのメカニックが大事なゲームの場合は普段ゲームプレイのフレームワークから考えていますね。例えばTRUE LOVE'S CURSEでは言葉を選んで合わせるゲームが作りたかったので、どんなストーリーなら合うのかな……としばらく考えた挙句呪いをかけるゲームにしました。

ゲームって言えば!MOCさんは漫画以外にGalaxy Ballerinaというノベルゲームを作りましたよね。確か前に描いた漫画の物語をもとに作ったと思いますが、普段漫画で物語を書いているのにどうしてGalaxy Ballerinaをゲームにしたのですか?

MOC​ 計画があったわけではないですが、前からゲームが作りたかったときにNaNoReno 2024※が始まることを知って、Ren'Pyをダウンロードしてそのまま作りはじめました。Galaxy Ballerinaはもともと短くて、セリフがなくてナレーションしかなかったから、ノベルゲームに移植しやすいと思いました。

※NaNoRenoは毎年3月に行われるノベルゲームのゲームジャム)

npckc​ ゲームジャムからゲーム制作に入る話を聞くとうなんか嬉しくなります。ゲームジャムはちょっとやってみようと思った人にとってやりやすいからね。

MOCさんにとって漫画を描くこととゲームを作ることはどう違いますか?こっちはもっとやりやすい・やりにくいとか、表現しやすい・表現しにくいとか。

MOC​ 正直言うと、物語の語り方だけで言うなら絶対本と映画のほうが自分に向いています。ただ、ゲームのほうは「探検」(「動くこと」と言っても良いかもしれません)と個人の挑戦に優れています。全部のゲームに探検と個人の挑戦が入っているわけではありません。Galaxy Ballerinaには入っていませんし。でも、この二つの要素はゲームという表現手段特有のもので、自分が一番ゲームで楽しんでいるものです。またゲームを作る機械があったら、ゲームでしか存在できない何かと感じるものが作りたいです。

npckc​ 探検と個人の挑戦……良い言い方ですね。自分も小説だったら書かない書き方をノベルゲームでは使ってます。本の読者の物語の体験はノベルゲームのプレイヤーの物語の体験と違うから。

こんなこと言われたら各表現手段特有の方法で漫画の物語を膨らませるMOCさんのメディアミックスを見てみたくなるんじゃないですか!

今後またゲームを作りたいと思いますか?または違う表現手段で何かを?

MOC​ 作りたいです。なんでもやりたいです!実はアーケード風のパズルゲームかシューティングゲームをデザインするのが夢です。「マネーアイドルエクスチェンジャー」みたいなゲームだけど、キャラ選択画面が美少女じゃなくて露出度の高い服を着ている美少年だらけ。この場で話すことで実現できたりして……

npckc​ すーっごくやりたいんだけど!実現できますように!!!自分が前にジャムで作ったメガネブレイカー(ジャムが終わって未完成のまま🪦🥲)もただ眼鏡をかけた少年の絵をゲームに入れる口実で作ったものだけど気持ちはわかりますw。

本当はちゃんと作りたいんですが絵とか全然できていないしゲームプレイもラグいから最適化が先だと思いますが(Ren'Pyというノベルゲームのエンジンの機能でリアルタイム操作が必要なゲームを作ろうとした自分がアホでした)、もしまた作り始めたらもしかしてMOCさんにちょっと眼鏡の絵をお願いしちゃうかもしれません…🙏

漫画と翻訳

npckc​ 『レイラとエアリー:銀河に響く歌』とGalaxy Ballerinaは日本語訳がありますね。ゲームのほうは翻訳が多久さんあるのですが、レイラとエアリーは今の時点で英語と日本語のみだと思います。どうして日本語訳を?

MOC​ 今はセルフ出版のみですが、数年前にデビュー漫画のROADQUEEN: Eternal Roadtrip to Loveが北アメリカのパブリッシャに出版されました。リリースが終わったら、一時期日本でも出版する話があって、自分が来日する話までありましたが……ちょうどコロナ禍になって蒸発しました。

それで友達に文句言ったら、「じゃ、自分で翻訳者雇ったら?」って言われました。それから結構時間がかかりましたが、最終的には友達の言葉を受け入れて、たしかに自分で雇えばいいと思いました。

そういう経緯もあったから、堀内愛月さんと一緒に仕事してレイラとエアリーを日本語でリリースできたことである意味長年ふさぎ込んでいた気持ちに区切りをつけられました。それでもまだ日本の漫画のイベントに行きたいけど!

あと、様々な翻訳に時間と努力を提供してくれた有志の方に感謝しています。リリース時にも思ったんですが、インディーゲームのコミュニティーは本当に熱意があって親しみやすいです。

npckc​ ついに日本語訳ができたというわけですね!(でもいつかROADQUEENも日本語で読んでみたいです…!)MOCさんの漫画は日本の漫画イベントには絶対合うと思うので、コミティアなどに参加する機会があったら良いですね。

Galaxy Ballerinaの多言語化が進んで、もっとたくさんの人に遊んでもらえたらいいですね。他のメディアよりも翻訳しやすい(テキストの話じゃなくて技術的な話)ところがあるのでそこもかなり好きです。

このインタビューを日本語に翻訳する予定なんですが、日本語話者の読者への一言コメントをお願いできますか?

MOC​ 世界中の皆さんに作品が届いていることに踊りながらも大変光栄に思っています。いつも支援してくれてありがとうございます!

最後に

npckc​ ビデオゲームの話で締めましょうか。もしMOCさんがビデオゲームの敵キャラだとしたら、レアドロップはなんですか?

MOC​ 自分が持っているコストコのエグゼクティブ会員カードですね。

npckc​ 申し訳ないのですが、自分は普通の会員カードしか持っていないので、エグゼクティブ会員カード目当てにMOCさんを倒さないといけないみたいです……😂

最後に告知などがあればお願いします!

MOC​ 最新の漫画『レイラとエアリー:銀河に響く歌』をぜひチェックしてほしいです!SFコメディのトランスジェンダーBLで描くのもとても楽しかったです。他の作品ならHPに全部あります。呼んでくれてありがとうございます!

npckc​ こちらこそ話してくれてありがとうございます!レイラとエアリーはお気に入りの漫画なので、このインタビューを読んでいてレイラとエアリーをまだ読んでいないならいますぐチェックしてくださいよ!


MOCさんの作品はオンラインショップまたはitch.ioのページでチェックできます。。

最新の漫画『レイラとエアリー:銀河に響く歌』は紙の本としてもデジタルなPDFとしても購入できて、ゲーム『Galaxy Ballerina』はitch.ioでブラウザー版とダウンロード版があります

今後他の人もカフェに呼ぶ予定あるので、ときどきのみに来てね~

#cafechat #games


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